A. 私は以前、その場にいても、いないように、相手が自由に表現できるように試みたことがあります。できるだけ暗くして、自分の姿を消し、気配のないようにして、視線も合わせず、耳だけを傾けていたのです。これは、一般的なコミュニケーションから言うと、拒絶ととられるかもしれないのですが、意図的にそういう場にしていました。つまり、私は場にいる、存在することで意味を設けていたのです。音として聞こえてきたものだけを判断すると再三、言った上での試みでした。歌という作品を問う場にしたかったのです。