後輩のハチヤ君と、昼食を終えて、学舎にむかう坂道をのぼっていた。 ハ「ああ・・・鰯雲が出てる・・・やっと秋ですねぇ・・・ そうだ、のりもさん、初秋らしい話をしましょうか?」 私「え?どういうの?」 ハ「のりもさんの好きな俳句ですよ。 『涼風の曲がりくねつて来たりけり』(一茶)とか、 『涼風やビードロになる砂を採る』(子規)なんていう 俳句があるんですよ。 この『すずかぜ』っていう季語 知ってます?」 私「すずかぜ?」 ハ「ええ・・・夏のおわり、つまり晩夏にふわぁ~っと吹く なんともいえない涼しい風を言うんですね。 いえば、本格的な秋になる前に吹く風で、 夏のおわり、秋の始まりを感じさせるでしょ…