「加山雄三のブラックジャック」とは、テレビドラマのことである。
手塚治虫の同名漫画を原作にしながら、独自の設定を盛り込んで製作された作品。
1981(昭和56)年1月8日から4月9日まで全13回にわたって放映された。
テレビ朝日系 木曜日 22:00-22:54。
原作のブラック・ジャックが「孤高の天才外科医」であるのに対し、本作では「表の顔は画廊の経営者だが、手術を行う際には幻の天才外科医”ブラック・ジャック”に変身し患者を救う」というミステリアスなエッセンスを加味している。
そのため、原作のブラック・ジャック誕生のストーリーがドラマでは全く変わってしまうため、独自の設定として
16歳で神父に連れられ渡米した際、列車爆破事故の巻き添えで、全身ズタズタの大火傷という瀕死の重傷を負い、シュピーゲル博士の手で救われる。異境の地で、皮膚提供者などいない。シュピーゲル博士は自らの皮膚をB・Jに移植した。彼は黒色人種だったのである。そして暗殺された某国大統領の首のすげかえ手術をしたB・Jは、秘密保持のため暗殺者に狙われ姿を隠し、神武画廊の経営者・坂東次郎という隠れ蓑をまとっている
を設けている。また、ピノコがアンドロイドであったり、その他に執事、助手、画廊の事務員、刑事といった独自のキャラクターを登場させることにより、原作の雰囲気を損なってしまいがちに見られるが、原作を絶妙にアレンジした作品群により、雰囲気は色濃く受け継がれている。
ブラック・ジャックと画廊の経営者・坂東次郎の二役を演じるのは加山雄三。ブラックジャックに扮するときには特殊メイクを使い迫力を出している。執事役には松村達雄。手術の助手から変装まで何でもこなす器用な執事である。また、画廊に出入りする刑事・倉持には藤岡琢也、画廊の事務員には秋吉久美子が起用された。
脚本は、ブラック・ジャック実写化作品である『瞳の中の訪問者(大林宣彦監督作品)』を手がけたジェームス三木が全作品を手がけている。監督には番匠義彰、山根成之など。
原作があまりに支持されているため、このドラマ自体に違和感を持つファンも少なくないと思うが、ブラック・ジャックの世界に独自のアレンジを加えた本作風は、ドラマとしての完成度自体も非常に高いものであると言える。
ブラックジャック、ある人は愛の伝道師と讃え、ある人は冷酷な守銭奴とののしる謎の天才外科医ブラックジャック。
天使は悪魔。悪魔は天使。世紀末を揺さぶる価値の混迷。神を見失った人間たち。
闇の中からブラックジャックは問いかける。
「この世に果たしてにロマンはあるか、人生を彩る愛はあるか」(ナレーション:田中邦衛)
ブラック・ジャック/坂東次郎 | : | 加山雄三 |
倉持刑事 | : | 藤岡琢也 |
遠藤嘉一郎 | : | 松村達雄 |
ケン | : | 大鹿伸一 |
ケイコ | : | 秋吉久美子 |
ピノコ | : | 今井里恵 |
話数 | サブタイトル | 脚本 | 監督 | ゲスト |
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1 | かりそめの愛を | ジェームス三木 | 番匠義彰 | 池上季実子 宅麻伸 |
2 | 春一番 | ジェームス三木 | 渡邊祐介 | 五十嵐めぐみ 中条きよし |
3 | ふたつの愛 | ジェームス三木 | (不明) | 村野武範 吉沢京子 |
4 | えらばれたマスク | ジェームス三木 | (不明) | 山内明 |
5 | 魔王大尉 | ジェームス三木 | (不明) | ジェリー伊藤 |
6 | 復讐こそわが命 | ジェームス三木 | (不明) | 音無美紀子 |
7 | B・J入院す | ジェームス三木 | (不明) | 橋本功 |
8 | 血がとまらない | ジェームス三木 | (不明) | (不明) |
9 | 助けあい | ジェームス三木 | (不明) | 前田吟 稲葉義男 川合伸旺 浜田寅彦 |
10 | 灰色の館 | ジェームス三木 | 山根成之 | ジャネット八田 入川保則 |
11 | 鬼子母神の息子 | ジェームス三木 | 番匠義彰 | 松尾嘉代 |
12 | 奇妙な関係 | ジェームス三木 | (不明) | 根岸季衣 |
13 | 終電車 | ジェームス三木 | (不明) | 江波杏子 |
現在、第8話のみ諸事情により再放送が出来ないそうです。(血友病を題材とした内容であったため)