⛰️ 中央アルプスの名峰・空木岳、その静かな狂気に惚れた話 「木曽駒ヶ岳や宝剣岳の陰に隠れてるけど、実は中央アルプスで一番カッコいいのは空木(うつぎ)じゃない?」──そう呟いた瞬間、私はもう戻れなかった。 標高2,864m、花崗岩の白い岩肌、ハイマツの緑、そして伊那谷を見下ろす絶景。誰がどう見ても“山の美術館”だ。けれどその裏で、体力・根性・膝の軟骨をゴリゴリ削ってくる「池山尾根」という試練も待っている。 私は転勤族ランナー。職場が変わっても、山への愛だけは変わらない。空木岳に初めて挑んだ日、標高差1,600mの登りで「これ、仕事より楽しくてキツい」と3回思い、下山後に「でもまた来たい」と5回…