世の中に、いと不思議なること、尽きせぬものなり。 大学を卒業せしや否や、自らも記憶あやふく、ただ手元に証文のごとき「卒業証書」ありて、さすれば、卒業せしにやと思ふこそ、つねなれ。 されど、その証書携へつつ、いざ大学に尋ねたるに、「除籍にて候ふ」との返答。あらま、卒業と除籍とが、一つ人に同時に起こるとは、いと怪しきことにこそあれ。 除籍とはいかなるときにぞやと、記されたる条文を見れば――一、納め金、期日に満たさず二、在学の年限を超ゆ三、休学の期を過ぎたる――なるほど、もっともなことどもにて候ふ。 また、「除籍の通知は保証人に届けらる」との文言、思ふに、本人の耳に入らぬこともあるらし。 されど、そ…