「武士道残酷物」で知られる時代小説作家。明治41年11月14日生まれ 本名=古賀英正 東京都生まれ。 旧制山口高等学校に進んだのち、東京帝国大学法学部を卒業し、さらに経済学部をも卒業した。いったんは大学の助手になったが、満州に渡り満鉄で軍の諜報活動に関わる仕事を担当していた時期もあった。 戦後、中央大学、國學院大學などで教壇に立つ。金融論が専門の経済学者であったが、作家としてもデビューし、兼業作家となった。
はじめに たまたまKindle unlimitedで南條範夫氏の小説『からみ合い』に出会った。氏の名は知らずとも、漫画『シグルイ』の原作小説『駿河城御前試合』の作者だと言えば合点の行く人も多いのではなかろうか。 シグルイ 1 (チャンピオンREDコミックス) 作者:山口貴由,南條範夫 秋田書店 Amazon 偉そうに語ってはいるが、かく言う私も実は南條氏のことはよく知らず、昨年ふと『シグルイ』を読んでみようと思い立った際に、まずは原作からと言ういつもの悪癖のために、偶然読むことになったに過ぎない。 だが、この悪癖は思いがけない出会いを生んだ。『駿河城御前試合』は非常に面白かったのだ。結局、原作…
無惨卜伝流:南條範夫 1959年(昭34)1月~6月、雑誌「小説倶楽部」連載。 1959年(昭34)新潮社刊。 剣聖塚原卜伝が生み出した新当流についてはその教えを受け継いだ門人たちが分派として広がり、毎年鹿島神宮に集って武芸大会を開くのが盛んに行われていた。しかし卜伝の直系の嗣子は不思議なことに代々女性しか生まれず、婿入りすることで嫡統を名乗ることができた。そのためには大会で優勝する事が条件とされ、その年は六人の剣士が名前に上っていた。 無惨卜伝流:南條範夫、御正伸・画1 いつの世にも狡猾な姦計を画策する者がいるもので、その中から一人ずつが次々と殺害され消えていく。あるいはその濡れ衣を家名にか…
シグルイ Shigurui 1. 作者について「シグルイ」は、原作を担当した南條範夫と、漫画を手掛けた山口貴由のコラボレーションにより生まれました。南條範夫は、その鋭い歴史観と深い人間理解で知られ、多くの時代劇や歴史小説を手掛けています。一方、山口貴由は、その緻密でリアルな画風と、人物の内面を浮き彫りにする表現力で評価されており、「シグルイ」においてもその才能を存分に発揮しています。二人の異なる才能が融合することで、「シグルイ」はただの歴史漫画を超えた深みと重厚感を持った作品となりました。 2. 漫画の概要「シグルイ」は、江戸時代初期の剣術道場を舞台に、剣士たちの生きざまと彼らを取り巻く暗く複…
南條範夫原作、山口貴由漫画『シグルイ』秋田書店 全15巻読了 徳川三代将軍家光の実弟忠長は、その居城駿河城にて二十二人十一番の真剣試合を開いたと言う。 その決闘の様子を記す『駿河大納言秘記』なる史料を元に執筆されたとされるのが、本作のもととなる『駿河城御前試合』という小説だ。 本作はその十一番の取り組みのなかから虎眼流剣士 藤木源之助とその宿敵 伊良子清玄の死闘と、それに至る二人の因縁を描く。 原作者南條範夫はなんでも『残酷』という状況にこだわったのだそうだ。 たしかに藤木源之助は隻腕となっても闘いに挑むし、伊良子清玄に至っては策略によって全盲となり、なおかつ片足の自由を失くしてまで剣を極めん…