元禄7年11月11日。日の出前、文左衛門は加藤平左・相原政右衛門・同荻右衛門・岡本治部右衛門・都筑右衛門と連れ立って土器野へ処刑を見物に行く。投網を持って漁のふりをして出かける。午1刻(午前11時)に帰る。見物人が多く集まる。巳の刻(午前9時)前、木曽本締め手代阿閉孫右衛門・近井義右衛門の磔が行われる。孫右衛門は途中で酒をしこたま呑み、馬から降りる時にはニコニコと笑い、河原者に何やら挨拶をする。義右衛門ははなはだ弱気となる。2人の倅男子は全員牢で切られる。女房・女子は追放となる。高札にはこの2人は起訴の山の材木を勝手に伐り、自分のものとした重罪により磔とすると。義右衛門は河村加左衛門の伯父であ…