東野圭吾の原作小説を映画化した『人魚の眠る家』 この作品は一見すると家族愛を描いたヒューマンドラマのように思えるが、観終わる頃には、その枠をはるかに超えた衝撃が心に深く刻まれる作品だった。 これは単なる親子の物語ではない。倫理、科学、愛、そして「生命とは何か?」という哲学的な問いまで内包する、壮絶な感情のジェットコースターだ。 悲劇から始まる物語 物語の発端は、母・薫子(篠原涼子)と父・和昌(西島秀俊)の娘である瑞穂がプール事故によって意識不明になってしまうことから始まる。この冒頭部分の描写があまりにもリアルで、子を持つ親ならば誰もが「もし自分だったら…」と震え上がるはずだ。 楽しいはずのプー…