隣り合せ:春風楼主人 1916年(大5)樋口隆文館刊、前後終全3篇。 作者の春風楼主人(しゅんぷうろう・しゅじん)とは、戯作者の称号のようだが、大正期でもそうした称号を用いる作家は少なくなかった。おそらく別人と思われる人が、明治中期頃史実物を書いた記録がある。一番わかりやすいのは各巻の奥付を見ることであり、それによれば「小川栄」となっている。もちろん生没年は不詳。同時期に活躍した小川霞提や小川煙村とも考えられたが、同一本名の人物ではなかった。 隣り合せ:春風楼主人、八幡白帆・画 前後終篇の全3巻、600頁超の長編家庭小説、悲劇小説だが、男が大事な一言を伝え漏らしたことが、悲劇の発端となる。美術…