はじめに:人の苦しみと向き合う「こころの歴史」 本記事では、「臨床心理学入門」シリーズ第4回として、臨床心理学の“歴史”をテーマにお届けします。 人はいつの時代も、悩みや苦しみとともに生きてきました。 臨床心理学の歴史をたどることは、人が「どうすれば苦しみに耐え、生きる力を取り戻せるのか」を問い続けてきた営みを知ることでもあります。 --- 古代哲学とシャーマニズムの時代 臨床心理学のルーツは、古代哲学や宗教的な信仰にまでさかのぼります。 たとえばアリストテレスは、「恐怖と冷静の間にある勇敢さ」「快楽と苦痛の間にある節制」など、中庸を保つことが心の安定につながると説きました。 また、医学の祖ヒ…