三島由紀夫の遺作、「豊饒の海」4部作の最終作に当たる。これを書き終わった直後に三島は市ヶ谷で檄文を読み上げ、割腹自殺している。 ラストが衝撃的。「春の雪」を読んだ人にはぜひここまで読んで欲しいものである。 タイトルは仏教用語による。この用語は小説内でも言及されている。
仏教用語。 六道の最高位である天道の住人は天人と呼ばれ、人道の住人である人間に比べて全てにおいて優れ非常に長寿であるが、それでも生物としての限界は超えられずいずれ死を迎える。その死の前兆を天人五衰と言う。 天人五衰は経典によって多少の違いはあるものの、大槃涅槃経によれば、1衣裳垢膩(衣服が垢で油染みる)、2頭上華萎(頭上の華鬘が萎える)、3身体臭穢(体が薄汚れて臭くなる)、4脇下汗出(脇の下から汗が流れ出る)、5下楽本座(自分の席に戻るのを嫌がる)の五つとされている。
現在文豪ストレイドッグスはアニメ4期を絶賛放送中です。 (文スト見たことない人は1期からぜひ見て下さい!!とても良いので!!!!) 4期の舞台は天人五衰編です。 アニメはもちろん見ますが、先の展開が気になって原作をブックオフで見ることにしました。そして、本誌に追いつきました。 ここから先は105話までのネタバレとなっています。 最新話の105話とかは多分アニメだとおそらく5期後半の内容になってくると思います。 読み進めるんなかでいろいろ疑問や感想な湧いてきたので、ここで書いていこうと思います。 ネタバレ注意 ************************* 時系列順に書きたくても一回しか読ん…
世の中には三島由紀夫の小説『天人五衰』のラストが理解できない人がいる。だから僕がそれをここで解説する。 まず、門跡の聡子が嘘をついていたり、記憶を忘れていたりすると思ってる読者がいるが、これはまったくの誤解である。それは聡子の外見からわかる。門跡は美しさだけでなく、犯しがたい神聖さと威をそなえたものなのだ。そこに瑕疵などありえない。 老いが衰えの方向ではなく、浄化の方向へ一途に走って、つややかな肌が静かに照るようで、目の美しさもいよいよ澄み、蒼古なほど内に耀うものがあって、全体に、みごとな玉のような老いが結晶していた。半透明でありながら冷たく、硬質でありながら円やかで、唇もなお潤うている。もち…
豊饒の海(四)天人五衰三島由紀夫新潮文庫昭和52年11月30日発行平成15年4月25日36刷解版平成15年9月30日37刷(この作品は昭和46年2月新潮社より刊行された) 豊饒の海、最終章の第四巻。本多は、76歳になっている。19歳から始まって、76歳まで、、。三島由紀夫は、最初からこういう構想で書き始めたのだろうか???ガルシア・マルケスの『百年の孤独』よりは短いけれど、、なんて長いストーリー。 裏表紙の説明には、「妻を亡くした老残の本多繁邦は清水港に赴き、そこで帝国信号通信社に勤める16歳の少年安永徹に出会った。彼の左の脇腹には、三つのほくろが昴の星のようにはっきりと象嵌されていた。転生の…
ランキング参加中映画 Amazonプライムビデオで観ることができる話題の春アニメです。 プライム会員であれば無料で観ることができる動画を中心に掲載しています。 ※プライムビデオは作品の入れ替わりがあるため、現時点2023/5/26でのおすすめになります。 ☆この記事を読んでほしい人 今の流行りに乗りたい人 通勤・通学時間の暇つぶしをしたい人 推しの子【4.6/5.0】 地獄楽【4.2/5.0】 僕の心のヤバイやつ【4.6/5.0】 Dr.STONE NEW WORLD第3期【4.3/5.0】 文豪ストレイドッグス 第4期【4.5/5.0】 マッシュル-MASHLE-【3.2/5.0】 無料で観…
二階の窓から見下ろす朴の花 朴の花が咲くと、窓を開けたまま眠る。緑の中に塊麗の巨花を擡げるモクレン科の植物は、泰山木、辛夷、大山蓮華等、どれも天上的な芳香を降らしてくれる。 辛夷の香りはスーッと頭の中が軽くなる感じ。泰山木はやや濃艶さが加わるが、朴の花の香りは両者の中ほどで、しかもその名の通りどこか質朴な野趣がある。 しかし、純白の花はあっという間にみるかげもなく萎れてしまう。天人五衰というか、茶色のまま樹上にしばらく揺れているのが悲しい。 朴散華即ちしれぬ行方かな 川端茅舎 散るときはもう完全に花屑になってますからね。 膝丈にも満たない小さな苗を植えて三年ほどで軒に近づく高さになった。成長が…
この文章が、いつか、誰かの目にとまることを祈りつつ。 日沼倫太郎は、私の尊敬する批評家の一人である。四十三歳の若さで死んだこの人のことを知る者は、今は少ないに違いない。係累のない、いわば叩き上げの人で、そういう文学者が集った保高徳蔵主宰の「文芸首都」出身だった。 だがこの集団は北杜夫、佐藤愛子、中上健次、津島佑子なども輩出していて、私が日沼倫太郎の名を知ったのも、卒業論文で北杜夫を選んだときだった。参考文献の少なさに閉口していた私は、氏の著作にはずいぶんお世話になったものである。私が初めて憧れた批評家だった。 『文学の転換』は、彼の処女評論集である。今、手元にあるのは初版で、箱もなく、どこでど…
引用元:アニメイトタイムズ ストーリー 登場人物・キャスト 天人五衰 感想 PV ストーリー 「君たち探偵社は、国の誇りだ」 ポートマフィアとの共闘のもと《死の家の鼠》が謀る「共喰い」作戦を制してから、およそ一ヶ月。 武装探偵社は、安全貢献の最高勲章たる祓魔梓弓章を授かり、国を挙げて讃えられることとなった。 そこへ舞い込む、政府からの緊急要請。 4件にわたる若手議員の殺害事件は、六道輪廻の最高位たる天人が死の間際に表す5つの兆候に見立てられていた。 武装探偵社は、残る1件を未然に防ぐべく立ち上がる。 「一同全力を挙げ、凶賊の企みを阻止せよ」 だがそれは、たしかに捕らえたはずの狡猾なる〝魔人〟フ…
※この記事は司法試験や勉強法と無関係です。 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年以上が経過しました。 当ブログに関しては、Googleさんが、毎月、「あんたのところのサイト、このワードでの検索結果からの流入が多かったよ」とメールで教えてくれます。開設当初からずっと「司法試験 暗記カード」が1位だったのですが、2022年の中頃から「戦争と平和 人物相関図」が1位に替わりました。 当該記事は“ネタバレしない人物相関図”をGoogle検索上位に表示させることを目的に書いたので、その達成をTwitter等で自慢したい気持ちもありました。しかし、『戦争と平和』は、表層的に読めば、ロシア軍の(特にク…
終わるの2つ。 虚構推理 : #23 「スリーピング・マーダー」 「山羊」の扇。 妖狐の吹雪は野良犬に化けて澄を狙っていた。その目の前で、澄は待ち伏せしていた人間に刺殺された。吹雪は剛一との取り引きが台無しにならないように、被害者のふりをして澄の叫びを周りに聞かせた。 真犯人は薫子だった。 剛一は六花を知っていた。どう罪を償えるか相談したところ、琴子と九郎のことを教えてもらった。 もののがたり : #11 「暗箭」 兵馬宛てに、京都塞眼通販カタログが届く。京都塞眼には対付喪神用の装備がある。品物を受け取る際に適性試験を受ける必要があるらしい。 兵馬はぼたんの案内で、てばた呉服店へ。ここの反物は…
文豪ストレイドッグス : 第四十八話 「脱獄記」 敦と鏡花は小栗を監禁していた銀行に侵入する。小栗は断ろうとしたら「原稿」の一言に逆らえず、外へ出る。 小栗はヨコミゾが最期に託した生命の痕跡につけ込んできた敦たちを警備に逮捕させようとする。鏡花にツボを刺されそうになり、腹痛やら悪しき方角やらが治る。 銀行が特務課に包囲され、小栗は震え上がる。特務課を指揮する安吾は政府によって創られた犯罪組織「七號機関」の長だった。 小栗はヨコミゾから教わった密室消失トリックを使って安吾を出し抜き、銀行から脱出する。それでも安吾は三人を追って来る。 安吾は最初から太宰と組んでいた。獄中の太宰との仲介をしている。…
世界にネズミと猫の話は数限りありませんが、日本語で書かれた長編小説『1Q84』と『豊饒の海』にも登場します。 この二つの話の共通点の一つは、両方とも自分の属性を否定するようなユニークな主張(思想)を持ったキャラクターがいるところです。これらは作品から抜き出してもなかなか興味深い寓話です。 以下は要約と共通点・相違点を少し載せています。 『1Q84』のネズミと猫の話(BOOK2・第5章) ネズミが猫に出くわした。 ネズミは猫に、「お腹を空かせた子供が待っているから私を食べないでください」と頼んだ。猫はネズミに、「自分は菜食主義者だから肉を食べないので心配しなくていい」と答えた。ネズミは幸運を喜ん…
先日 「よくわかるヒンドゥー教」(瓜生中著 角川ソフィア文庫刊) という本を読みました。 ヒンドゥー教の成り立ちですとか 聖典(ヴェーダ)のこと 有名な叙事詩 「マハーバーラタ」 (パーンダヴァ5王子VS従兄弟のカウラヴァ悪玉王子100人との戦い) 「ラーマーヤナ」 (ラーマ王子が悪魔に攫われた妻シーター姫を奪還する話) のことなどが わかりやすく解説されていて、大変ためになる一冊でした。(^_^) よくわかるヒンドゥー教 (角川ソフィア文庫) 作者:瓜生 中 KADOKAWA Amazon ここでは 世界創造神ブラフマーや 世界維持の神ヴィシュヌを始めとして 愛の神カーマや神猿ハヌマーンなど…
金閣寺 p129問題は、俺と対象との間の距離をいかにちぢめるかというこにはなくて、対象を対象たらしめるために、いかに距離を保つかということにあるのを知った。 そのとき俺は、そこに停止していて同時に到達しているという不具の論理、決して不安に見舞われぬ論理から、俺のエロティシズムの論理を発明したのだ。おれは見ると同時に、隈なく見られていなければならぬ。おれの内翻足と、俺の女とは、そのとき世界の外に投げ出されている。 内翻足も、女も、俺から同じ距離を保っている。実相そちらにあり、欲望は仮象にすぎぬ。 そして見る俺は、仮象の中へ無限に転落しながら、見られる実相にむかって射精するのだ。 俺の内翻足と、俺…
昨年リニュアルした図解Webのテーマは「集大成と新世界」としました。 久恒啓一図解ウェブ (hisatune.net) 「集大成」は過去にやってきたことを、記録としてまとめること。 「新世界」は未来に向けて今まで知らなかった世界に入っていくこと。蜃気楼大学などはその一つですが、ソーシャルネットワーク(SNS)という宇宙の中での生活の革新も含まれています。 フェイスブック(FB)では毎日、「友達」としてつながっている人たちの日々の動向が流れてきますので、どういう生活があり、そこでどういう感慨をもって皆が生きているかを目にすることができます。 このFBではつい先日まで「友達」の数は意識していません…
アニメ『文豪ストレイドッグス』待望の第4シーズン配信開始❗(ヲタクはU-NEXTで見ています) #38〜40は、武装探偵社設立に至るまでのエピソード。軍警にも一目置かれる武闘能力を持ちながら、孤高の無頼生活を送る福沢諭吉。福沢はある日、会社社長の警護を依頼されますが、彼が約束の時間に現場に到着した時には社長は既に殺されており、現行犯が逮捕された後でした。そこに、事務員で面接を受けに来たという少年、江戸川乱歩がやって来ます。彼は現場を一目見て、「真犯人は別にいる」と看破します。彼の卓越した推理能力に瞠目した福沢は、乱歩を伴ってある劇場の警護に当たりますが、観客の眼の前で主役が殺され……❗ 何と言…
文豪ストレイドッグス : 第四十二話 「完璧な殺人と殺人者(其の二)」 乱歩は小栗の隣で推理を展開し、隠滅屋殺しと金田一殺しの犯人が小栗であると結論付ける。 小栗はミステリーを究めんとしたヨコミゾの頼みで、彼を絞殺した。 小栗の完全犯罪が解除された。これで国木田も放免となる。 ニコライ・Gは小栗の後始末にやって来た。小栗は乱歩に、これから探偵社にやって来る大きな仕事を受けてはならないと警告する。 文豪ストレイドッグス : 第四十三話 「悲劇なる日曜日」 プシュキンとフョードルを捕らえたことで、武装探偵社は祓魔梓弓章を授与される。 武装探偵社に政府から緊急の要請が入る。天人五衰に見立てた四件の連…
2023月 2月11日(土)中央公民館2階講習室 地に足を着けなおす 15:10〜 医療従事者クラス・エーテル塾 11:00〜 舞扇・仙骨尺などグッズをお忘れなく。 ********************************************************************* 「籠坂峠から向こうは、どこもかしこも夥しく雪が残り、 山中湖畔の疎林の地面は縮羅のような凍雪におおわれていた。 松は黄ばみ、湖の水にだけうららかな色があった」 『暁の寺 三島由紀夫』 小さな頃、父が私の名前の漢字を 「三島由紀夫の由紀です」 と説明した時から、 私は三島由紀夫の生み出すエネルギ…