源氏自身が遺骸《いがい》を車へ載せることは無理らしかったから、 ござ に巻いて惟光《これみつ》が車へ載せた。 小柄な人の死骸からは 悪感は受けないできわめて美しいものに思われた。 残酷に思われるような扱い方を遠慮して、 確かにも巻かなんだから、 茣蓙ござの横から髪が少しこぼれていた。 それを見た源氏は 目がくらむような悲しみを覚えて煙になる最後までも 自分がついていたいという気になったのであるが、 「あなた様はさっそく二条の院へお帰りなさいませ。 世間の者が起き出しませんうちに」 と惟光は言って、遺骸には右近を添えて乗せた。 自身の馬を源氏に提供して、自身は徒歩で、 袴《はかま》のくくりを上げ…