与謝野晶子は共学推進論者であった。 日本列島全土に於いて、男女席を同じゅうして学ぶ環境を創り出す。七つの峠を越えようが、敢えて隔てる必要はない。どんどん机をくっつけてゆけ。そういうことを念願とした人だった。 「さあ、それは」 いくらなんでも度が過ぎる、無意味なまでに極端に突っ走った話じゃないか――。 ある場面にて難詰されて、晶子、負けじと返した言葉が強い。 「逆ですよ。男は女に、女は男に、早いうちから慣れさせないと、後々突飛な真似をする。そうなってからでは遅いのです」 突飛な真似とは要するに、情死、駈け落ち、多淫に漁色、数次に亙って結婚離婚を繰り返す病的心理状態等々、そういう聞くだに忌まわしい…