たとえば、大規模言語モデルの出力に感心したとき──私たちは、つい「このAI、ほんとうに賢いな」と思ってしまいます。けれど、ふとした瞬間に湧いてくる。「でも、それってほんとうに“知ってる”の?」と。 私自身、AIを作る側の人間として、学習とは結局のところ、モデルのウェイトを「調律」する作業にすぎないと、よく理解しているつもりです。それでも、最近のAIの振る舞いには、正直、何度も心を揺さぶられます。「これが本当に、私の知っているAIなのか?」そんな戸惑いを覚える瞬間が、確かにあるのです。 そんな、脅威ともなりうるAIについて、「AIに仕事を奪われる。だから開発を法律で制限しろ」などと主張する前に、…