ある宝石商は、毎年インドへ買い付けに出かけると言う。 「なぁ、おねえさんは宝石の占星術って知ってるかァ?」 そう言うと、自身の指に嵌めていた翡翠のようなエメラルドの指輪を外し、ゆっくりと回転するように見せてきた。 「これがな、自分の石ちゅうことやねん。普通の指環とは違ってな、この指輪は肌に石が触れるように作ってあるんやわ。」 ほう…と見詰めると、確かに石のお尻部分が肌に触れるように露出している。 どうやら宝石の占星術というのは、インド人の多くが信仰しているもので、生まれた時間や位置から自分の星を算出し、そのデータに基づいて自分の石というのを調べるらしい。 こうして分かった自分の石を身につけたら…