神とか信仰について語る資格が私に与えられているか知らないが、私がいつもあたたかに思い返すのは次の挿話だ。 これは、ペルシア戦争のときに、ペルシア軍の侵入を危惧するデルフォイの人々に対して、神託が答えたことと一致している。デルフォイの住民は、神殿の宝物をどうしたらいいのか、隠すべきなのか、それとも、どこかに持ち出すべきなのか、お伺いを立てたのだった。すると神は、「なにも動かす必要はない。おまえたちのことだけ心配していればいいのだ。わたし自身のことについては、わたしだけで十分に、必要なことを講じることができるのだから」と、答えたという。*1 これが神のありかたについての話ということになるだろう。そ…