小松和彦先生が文化勲章を受章された。妖怪ファンの一人として、お祝いを申し上げたい。先生の妖怪論は、「妖怪とは、人間社会が自らの境界を意識化するために生み出した他者である」という思想に集約されると思う。「怪異現象」や「昔話の登場人物」としてではなく、人間社会の秩序・価値観・境界を映し出す文化的存在として捉えていらした。先生の立場は、妖怪は「現実にはいない」が、「人間にとって実在している」というものだ。科学的実在(物理的存在)ではなく、文化的・心理的実在として位置づけられていた。人智学を学ぶ者にとって、以前からこの点で、よくわからなかった。「現実」と「実在」のとらえ方が違うせいである。「実在とは何…