1955年生まれ。CMディレクター、映画評論家。 著書に「巨人と少年 黒澤明の女性たち」(文藝春秋)。
【桜子の人物造型】 犬童「(『BU・SU』〈1987〉では)高嶋(高嶋政宏)さんと富田(富田靖子)さんに比べて、広岡さんのやっている桜子はあっけらかんとしていますね。あのふたりははっきり挫折して人生の底辺ですべてに不満を持っているようですが、そういう青春と関係ないところで広岡さんはひとり愉しそうに見えます」
【撮影の想い出】 広岡「(『BU・SU』〈1987〉の最初の撮影は)神楽坂の阿波踊りだったような。阿波踊りに合わせて撮影しなきゃいけなかったので。ビアガーデンのシーンが最初だったような記憶があるんですけど…。唐突にあのシーンから撮影が始まった気がします」
陰気でひねくれた女子高生・麦子(富田靖子)は、親元を離れて神楽坂で芸者の修行をしながら高校に通っていた。麦子はクラスで友人(高嶋政宏、広岡由里子ら)と知り合ったことなどにより変容し、文化祭で「八百屋お七」の公演に挑む。
【実景を入れる構成 (2)】
【『病院で死ぬということ』の起用】 岸部「(『病院で死ぬということ』〈1993〉のキャスティングで)細かいことはあまり覚えてないんですけど、原作を読んで泣いた記憶はあるんですよ。それで監督から言われたのは、カメラはフィックスで撮っていくからアップもない、病院の日常風景みたいな感じで撮るんでと言われましたね。どこから映されてるかも気にしないで、かえってよかった。指示はなかったですね。
【映画の構造について (2)】 岩井「『スワロウテイル』(1996)は『漂流姫』(1986)と篠田(篠田正浩)監督の『はなれ瞽女おりん』(1977)を掛け算して2で割ったみたいな。
【マンガの世界 (2)】
1950年代、東京・椎名町に若きマンガ家たちが多く住んだ伝説のアパート・トキワ荘があった。そのリーダー格だった寺田ヒロオ(本木雅弘)。石森章太郎(さとうこうじ)は売れ、編集者に何度も厳しい言葉を浴びせられた赤塚不二夫(大森嘉之)もやがてブレイクを果たすが、森安直哉(古田新太)などは追い込まれて去っていき、やがて寺田も断筆する。