ベーリング海は魚族の宝庫だ。 汽船どころか帆船時代に於いてさえ、四十五万三千三百五十六匹の鱈を獲った船がある。 彼女の名前――どういう次第か、フネは往々、女性人格を附与される――は、ソフィ・クリステンセン号。総計五ヶ月、出漁しての成果であった。 (Wikipediaより、スケトウダラ) 鱈一匹の重量を650gと仮定し、換算式にぶち込むと、この漁獲量は295tに当たる。 最近の漁船、たとえばアラスカ・オーシャン号は一回網を打つだけで50tの鱈を獲る。 たった三週間の出漁で、5400tもの鱈をベーリング海から掻っ攫うのだ。 シアトルの誇りとして孫子の代まで語り継がれたソフィ・クリステンセン号も、現…