日本の鉄道運行が時刻表に極めて忠実なることは、戦前すでに定評があった。 一九三〇年代半ばごろ、この島国を旅行したエドワード・ウェーバー・アレンというアメリカ人が書いている、 「日本の汽車は特色がある。 狭軌で、遅く、国有経営である。たまには臭いが一つだけ良い所がある。時間を厳守することだ。時計を汽車で合はすことが出来る程世界一正確である」 と。 むろん原文は英語だが、幸にして優れた日本語版がある。 翻訳者の名は山口晃二、昭和十七年『北太平洋の実相』というタイトルで洛陽の紙価を高めたものだ。お蔭でざっとこのような、 「日本の芸術には、人を惹きつける面白さと明朗さがある。その国の庭園は、繊細な配置…