〈はじめに〉 『愛を読むひと』は、15歳の少年マイケルと36歳の女性ハンナの恋の物語である。ホロコーストという重い内容も含まれていて気軽に語れる映画ではないが、個人的に年下男性との恋愛映画を語るにははずせない作品である。 〈構成〉 この映画はベルリンで弁護士として暮らすマイケルの現在から始まり、ベルリンの壁崩壊前の西ドイツのノイシュタットで青年時代を過ごす彼の過去が次に描かれる。過去のエピソードが終わるたびにまた短い現在に戻り、また過去になって……と行き来し、最終的に現在に戻り収束していく構成が取られている。(扇状型回想法[1]とも呼ばれる) 〈前半部分あらすじ〉 15歳のマイケルは体調が優れ…