たような気持がいたしますわ……あなたはここで勤めていらっしゃるのでございますって? それはまあ、何より嬉しいことでございますわ……」 こう言いながら、夫人はもう半切の書簡箋に、大きな字で次の文句をさらさらと手早くしたためた。 『わたくしはいまだかつてかの不幸なるドミートリイ・カラマーゾフ氏に(何というとも彼はいま不幸なる身の上なれば)、三千ルーブリの金を与えたることなきのみならず、一度たりとも金銭の貸与をしたることなし! 世界にありとあらゆる聖きものをもってこの言葉の真なるを誓う。 [#地付き]ホフラコーヴァ』 「さあ、書けました!」と夫人はくるりとペルホーチンのほうへ振り向いて、「さあ、行っ…