訓読 >>> 3676天(あま)飛ぶや雁(かり)を使(つかひ)に得(え)てしかも奈良の都に言(こと)告(つ)げ遣(や)らむ 3677秋の野をにほはす萩(はぎ)は咲けれども見る験(しるし)なし旅にしあれば 3678妹(いも)を思(おも)ひ寐(い)の寝(ね)らえぬに秋の野にさを鹿(しか)鳴きつ妻思ひかねて 3679大船(おほぶね)に真楫(まかぢ)しじ貫(ぬ)き時待つと我(わ)れは思へど月ぞ経(へ)にける 3680夜(よ)を長み寐(い)の寝(ね)らえぬにあしひきの山彦(やまびこ)響(とよ)めさを鹿鳴くも 要旨 >>> 〈3676〉空を飛ぶ雁を使いとして手に入れたいものだ。奈良の都に言伝てを託すことが…