夜明けはいけない。 近くの神社で、太鼓が鳴る。 また時間の流れが押し寄せる。 眠れない夜の終わりや、 仕事に向けた朝の始まり、 あちらとこちらの混じり合う場所で さ、区切りなさいと 背中を一撫でし、杭を打つように 太鼓が鳴る。 あの夜明けにも 私が眠りに落ちてすぐ 鳴り響いたのだ、太鼓が。 夜と朝の隙間で、 闇と光のあわいで、 私の魂がとろとろと境目をなくした時、 痩せつくした猫の魂がとうとう 広々とした宙を目指すと決意した時、 肉体を超えて溶け合えるその一瞬 「今です!」 どどん、どん、どーん、どどん、 祝福の響きがこの部屋を覆ったのだ。 きっと。 溶け合い、そしてまた それぞれの道へと背中…