トロントで名医として名高い産婦人科医のエリオットとビヴァリーは、1人の女性と出会ったことにより、精神の均衡を崩していく。
深紅を背景に医療器具が舞う美しいタイトル・デザインで引き込まれるが、全体にじっくりと描き過ぎて一般観客にはちょっとしんどくなったクローネンバーグ作品。バリ・ウッド&ジャック・ギースランドの原作の方が面白いが、退廃俳優ジェレミー・アイアンズが特撮で1人2役を演じる、神経質でどこか薄気味悪い双子演技は見もの。2人の間で揺れるジュヌヴィエーヴ・ビジョルドも好演で、毎度のことながらクローネンバーグの俳優の趣味の良さが実感出来る作品でもある。
深紅の白衣とグロテスクな医療器具による手術場面や、双子と1人の女性のダンス場面など、映像的に印象的な場面もある。が、心理ドラマでも内臓感覚溢れる悪夢場面を挿入するなど、相変らずクローネンバーグなのであった。