才能の切っ先を肌で感じる陶酔感がたまらない (評価 82点) それがどんなジャンルであれ、優れた才能は鋭く尖っている。芸術に触れる喜びの最上位に、そんな鋭く尖った才気に直に触れる喜びがある。そんな才能と出会った時、皮膚感覚で痛感させてくれる芸術のジャンルは映画をおいて他にはないのかも。 世界的巨匠となったロマン・ポランスキーの長編デビュー作はまさにそんな一品だ。ポランシキーの名前を最初に知ったのは、ひょっとしたら国語の教科書だったと思う。おそらくシュールレアリスムといった言葉の例として、ポランスキーが若かりし頃に作った「タンスと二人の男」という短編を引き合いに出して書かれた短い文章だったような…