搦手に向う老僧たちの大将軍には源三位入道頼政、 乗円坊の阿闍梨慶秀、 律成坊《りつじょうぼう》の阿闍梨 日胤《にちいん》などを はじめとして、その軍勢およそ千人、 手に手にたいまつを持ち進発した。 大手の大将軍には嫡子伊豆守仲綱、 次男源大夫判官兼綱、 六条蔵人《ろくじょうのくらんど》仲家、 その子蔵人仲光をはじめとし、 大衆には円満院大輔源覚、 律成坊の伊賀公《いがのきみ》、 法輪院鬼佐渡など、 いずれも剛力で弓矢打物をとっては 鬼をもひしぐという一騎当千の精強である。 このほか平等院、北の院などの強僧も加わり、 武士には渡辺《わたなべ》の省《はぶく》、 播磨の次郎《じろう》授《さずく》、 …