以前、水村美苗『日本語が亡びるとき』(筑摩書房、2008年)を読んだことをお伝えしました。ビジネスの世界に身を置く立場として、読みやすいと感じる内容ではありませんでしたが、著者の危機意識は強く伝わってきました。 小説家の書いた日本語論からの気づき - 職人的生き方の時代 たとえば、わが国の知識人が日本語で書かなくなる前に、日本語で読まなくなることの危機感が指摘されています。自分に置き換えても、法学の論文を書くときに比較法という手法を多用するので、その傾向が出てきます。また、英文の契約書に関する議論であれば、英語で論文を書けば多くの読者を獲得できると思います。しかし、法律条文が日本語である限り、…