法と言語に興味を持ったきっかけ 田中克彦という『言語界のアウトロー』という異名を持つ差別語を専門とする言語学者がいる。 彼はエッセイ『差別語からはいる言語学入門』のクライマックスに当たる項で、彼が裁判で差別語に関する証言をした際の体験を語っている。 そこで彼は、公正中立である筈の法廷空間の言語使用に関する衝撃の実態を目にする。 事件で争われた行為を中心的に示すとされた豚の死体の頭部の呼称が、検察官の意図した誘導により発見時の「豚のアタマ」の呼称から「クビ」に後退し、 最終的には「ナマクビ」となり、明らかに被告に対して不利な、ネガティブなニュアンスの言葉に変遷していたというのだ。 私はこれが事実…