村上春樹の「納屋を焼く」って知ってますか?と聞かれたので、曖昧な記憶を探り「ジョギングしながら納屋を焼いて回る男の話でしょう」と答えたら「全然違いますよ」と言われた。そこでものすごく冷えている水曜の夜9時過ぎに、本棚からその小説が収められた短編を探し出して、読んでみた。三十年振りくらいの再読だった。ジョギングする男と、納屋を焼く(と主張している)男が出てきたが、それは二人の男で、記憶のように一人の男がジョギングしつつ納屋を焼くわけではなかった。しかもそこに女性も登場していて、女性が消えるということはまったく覚えていなかった。だけど、村上春樹の小説では女性がよく消えるんだな、と気が付いた。「羊を…