成瀬巳喜男監督『おかあさん』。左から香川京子、田中絹代。 川本三郎さんが書いた『成瀬巳喜男 映画の面影』が電子書籍になったので再読してみる。成瀬巳喜男はわたしのいちばん好きな映画監督だけれど、この監督の魅力を深堀りして教えてくれたのは、川本三郎さん。この1冊は、その集大成といえる。 成瀬巳喜男 映画の面影 (新潮選書)作者:川本 三郎新潮社Amazon 成瀬映画の題材には、生活に困窮するひとたちが多く登場する。彼ら・彼女たちは、借金に追いつめられたり、個人商店がいき詰まって、お金の工面に歩いたりする。 たいてい問題は最後まで解決しないので、映画が終わっても、登場人物のその後の人生が心配になる。…