女優、映画俳優、(1909-1977)、山口県下関市出身 15才で映画界に入り、大部屋時代を経て、松竹映画の大スターへ。 戦後は、溝口健二作品に出演した。しかし、晩年は、不遇な境遇に遭い、1977年にこの世を去った。死の直前、「目が見えなくなっても、演じれる役があるかしら」と漏らした。 いとこは映画監督の小林正樹。 死後、新藤兼人が田中絹代の自伝小説を執筆した。
春爛漫の京都。紀州家の家臣・和佐大八郎が8000本を超える通し矢を射抜いて日本一になるかどうかで街はにぎわっていた。5年前、大八郎の父は尾州家の家臣・星野勘左衛門に破れ割腹。宿屋小松屋の女主人・お絹は、先代の無念を晴らすため必死の思いで弓術を習わせてきた。その小松屋に素性の知れない謎の武士が止宿していて…。 (早稲田松竹ホームページより引用) 監督:成瀬巳喜男 出演:長谷川一夫/田中絹代/市川扇升 三十三間堂に行くと、通し矢(何発も命中させる競技)の解説があったりする。この映画の冒頭でも、お坊さんが口々に解説している。 さて、八千発超えをして、記録更新をすることが指名である市川はプレッシャーに…
大衆に分かりやすい演劇を唱えて沢田正二郎が旗揚げをした新国劇は、大正6年、剣戟に活路を見出そうと「国定忠治」を取り上げた。一座の頭取で殺陣師の市川段平は心中、期するところがあったが、リアリズムな立ち廻りを求める沢田は、歌舞伎出身の段平の殺陣を初めから相手にしなかった……。 (Prime Videoより引用) 監督:瑞穂春海 出演:市川雷蔵/中村鴈治郎/高田美和/田中絹代 殺陣師段平 市川雷蔵 Amazon 脚本は黒澤明。マキノ雅弘のリメイク版である。 生粋の殺陣師である鴈治郎。しかし雷蔵こと沢田先生は、歌舞伎めいた殺陣を好まなかった。リアリズムとはなんぞや、考え抜いた鴈治郎の殺陣は大評判になり…
★★★☆☆ あらすじ 失業した夫とうまくいっていない姉と、それを心配してかつて彼女が想いを寄せた男とくっつけようと画策する妹。112分。 youtu.be 感想 常に姉は着物で、妹は洋服のファッションが象徴的だが、保守的な姉と進歩的な妹、二人の姉妹の物語だ。同じ姉妹なのになぜこうも違うのかと訝しんでしまうが、きっと戦争が影響しているのだろう。 戦争中と敗戦後では世の中は180度変わった。多感な時期をどちらで過ごしたかで、考え方も当然変わるはずだ。それが二人の性格を違うものにしたのだろう。今だと戦争経験者かどうかの区別しかないが(その区別もほぼなくなった)、当時は何歳の時に戦争を体験したのかは、…
移り行く柳橋の花柳界で新旧の芸者たちの人生が交錯する――。芸者置屋を主な舞台に、成瀬の周到な演出の下、歴代の名女優陣の演技合戦から目が離せない群像劇の傑作。住み込み家政婦を田中がきびきびと演じて見事。 (神保町シアターホームページより引用) 監督:成瀬巳喜男 出演:山田五十鈴/田中絹代/高峰秀子/岡田茉莉子/杉村春子/栗島すみ子 流れる 田中絹代 Amazon 神保町シアター、11月は田中絹代特集であった。 原作を途中まで読んでいたので、すっと入ることができた。置き屋で住み込みすることにいなった田中。そこのおかみの山田五十鈴は借金と昔の男のことがあり、娘の高峰は芸者になるつもりはない。杉村&岡…
引用元:cinameclassics.jp 時は天正15年(1587年)、豊臣秀吉の茶頭・千利休(二代目中村鴈治郎)の四女・吟(有馬稲子)は、利休七哲(父の高弟とされる七人の武将)のひとりであり、キリシタン大名の高山右近(仲代達矢)を想い続けていた ところが妻帯者である右近は、(キリシタンの教えを破ってまで)吟と一緒になる決心は出来なかった そんな吟に、父が石田三成(南原宏治)から受けた縁談が持ち込まれる その相手は、太閤茶湯七人衆のひとり、万代屋宗安(伊藤久哉)だった 相手が右近でない限りは誰であれ、という想いの吟は必死で父に抵抗するも叶わず、二年後に吟は宗安の元に嫁ぐ しかし、いつまでも自…
「日本誕生」(1959)を見る。東宝1,000本記念として製作。目標は壮大なスケールの「十戒」(1956)のような映画だったといわれる。 阿蘇山にて400名のスタッフでロケを敢行。東宝のオールスターキャストで描くスペクタクル。日本”沈没”映画は新旧含めて何度も見たが、日本”誕生”映画は初めてかもしれない。日本神話の一つ、国生み(くにうみ)神話を描いているようだ。 日本神話のイザナギ(伊雅那岐)、イザナミ(伊邪那美)と、アメテラスノオオミノカミ(天照大御神)、スサノウ(須佐之男、素戔男尊)、ヤマトタケルノミコト(日本武尊)などが登場し、物語は、小椎命(日本武尊)を主人公としつつ、合間に太古の神々…
日本映画の巨星・溝口健二監督の生涯に迫った新藤兼人監督による渾身のドキュメンタリー。100歳で没した新藤兼人の映画人生にも触れる。 製作:1975年 製作国:日本 日本公開:1975年 監督:新藤兼人 出演(インタビュー):依田義賢、成沢昌茂、田中絹代、入江たか子、増村保造、他 レイティング:一般 ◆◆ この映画の猫 ◆◆ 役:☆(ほんのチョイ役) インタビューの背景に写っている猫 名前:不明 色柄:白 ◆その映画監督 日本映画の三大巨匠と呼ばれる監督と言えば、黒澤明、小津安二郎、溝口健二とされています。私見ですが、その三人のうち、若い人にいちばんなじみがないのが溝口健二ではないかと思います。…
監督 小津安二郎 脚本 斉藤良輔 小津安二郎 出演 田中絹代 佐野周二 笠智衆 村田知英子 水上令子 文谷千代子 岡村文子 三井弘次 清水一郎 谷よしの 泉啓子 中山さかえ 坂本武 高松栄子 田中絹代 何度見ても良さがわからない小津安二郎のこの作品。そもそも上から目線の夫とぶって!という妻に60過ぎた私でも違和感を感じる。田中絹代が階段から突き落とされるあのショックな場面でも夫の佐野周二は上から「大丈夫か?」というだけで、間借りしている奥さんが家に入ってきた時にはすでに夫は2階に上がっている(と思われる)。 最後に夫婦が抱き合って今までのことは忘れてこれから何があっても二人でやっていこうとかい…
監督 溝口健二 脚本 依田義賢 出演 田中絹代 菅井一郎 三船敏郎 山根寿子 宇野重吉 進藤英太郎 沢村貞子 大泉晃 柳永二郎 小川虎之助 毛利菊枝 市川春代 原駒子 浜田百合子 前にも記事にしましたが、アマプラ無料で再視聴。2時間越えですが、全く飽きない。 人間、どんな人と知り合うかによって人生が変わってしまう・・という今でも通じる怖いお話。羅漢堂の羅漢さまの顔をみて、昔の男性を思い出す田中絹代の表情がよい。 冒頭のそのシーンが映画三分の二を超えた頃にまたでてくるという演出も良い。 田中絹代 御所にいた十代のお春(田中絹代)が出会った男、勝之介(三船敏郎)。ここから彼女の不幸は始まる。身分違…
昔、小津安二郎作品が好きじゃなかった理由がわかってきたぞ。前にも書いたようにお上品すぎたからだ。なんだろ?このそこはかとなく感じるお上品さは(それが人気たる所以か)。それに笠智衆のまったりした喋りが癒されるからか。さすが御前様。 ま、それはそれとして。今回の『宗方姉妹』。良妻賢母な節子(田中絹代)と天真爛漫な満里子(高峰秀子)の対比がいいねぇ。性格も考え方も違うからいがみ合ってるのかと思いきやお互いをリスペクトしあってる「理想の姉妹」やねぇ(小津作品はそういうの多いし)。 前回の『小早川家の秋』も「家族あるある」で家族の日常を時にユーモラスに演出していたが今回もそんなもんだな。渡鬼(渡る世間は…