未明に目覚め畏友村上湛君呟板で大鼓の名手・亀井忠雄先生急逝と知る。昨日の観世能楽堂で文蔵師〈頼政〉は忠雄先生休演で子息の広忠さんが代演となつてゐたが、まさか前日にお亡くなりになつてゐたとは。この3年やつと能を見るやうになつたアタシにとつても忠雄先生は特別な存在。この方の打つ大鼓が能の舞台でどれだけ大切なものか、見事なものか、他の打ち手とは全く次元の違ふ音というか空間を生じさせるもので、鼓の音一つがなぜこれほど崇高な世界になるのかいつも驚きをもつて見させて、聞かせていたゞいた。私にとつては観世流でご宗家か大槻先生のシテでツレに森常好さん(現・宝生常三)がゐて囃子方に亀井先生、小鼓が大倉源次郎師、…