月村 了衛[つきむら・りょうえ] 作家。1963年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。在学中、清水邦夫、高橋玄洋に脚本・演劇を学ぶ。 卒業後予備校教師として現国・古文・漢文の教鞭を執る。 1988年脚本家としてデビュー。2010年早川書房「機龍警察」で小説家デビュー。 主な作品に、 「機忍兵零牙」(早川書房) 「機龍警察 自爆条項」(早川書房)
月村了衛 公式ブログ http://d.hatena.ne.jp/ryoue/
内容(amazonより引用) 元ロシア警官のユーリ・オズノフ警部は、警視庁特捜部との契約を解除され武器密売に手を染めた。そんな中特捜部は、近々ロシアマフィアによる有人搭乗兵器の見本市が行われることを察知するが……。 機龍警察 暗黒市場 上 機龍警察〔文庫版〕 (ハヤカワ文庫JA) 作者:月村 了衛 早川書房 Amazon 機龍警察 暗黒市場 下 (ハヤカワ文庫JA) 作者:月村 了衛 早川書房 Amazon 感想(ネタバレなし) シリーズ3作目にして脂が乗りに乗っている。前々作の姿、前作のライザに続き、ユーリの過去にスポットが当たるが、これがまた壮絶。警察としての誇りと国の腐敗。巨大な権力によ…
月村了衛氏の十三夜の焔を読んだ。天明から天保へかけて50年以上の時間スケールで活写する時代小説。天保四(1784)年五月の十三夜の夜に幣原喬十郎は匕首を手にした男と側に倒れる男女を見た。倒れている男女は血に塗れていて、見るからに殺されたと思われた。そして、その男は両眼から涙を流して泣いていた。喬十郎は男を取り押さえようとしたが、身の軽い男は用水桶から町屋の軒に飛び上がり、暗がりの中に溶け込んでいった。それが喬十郎と盗人千吉の出会いであり、そこから50年以上の物語が続いていく。幣原喬十郎は先手弓組に属しており、本来の務めの傍ら取り逃がした男を探査することになる。第一話の「十三夜の邂逅」では逃げた…
前回の記事でセミとウグイスの鳴き声で朝を迎える…などと悠長に話していたのも束の間、最近ではセミ100%のあまりのうるささに叩き起こされ、窓を開けて寝てしまった今朝にいたっては、頭上の網戸にへばりついたその張り切りすぎの声のおかげで、ライブハウスを出た直後みたいな耳の状態で目覚めた私ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。 世の中の子供たちは夏休みに突入しましたが、大人になってからも “夏休みの宿題“ についての話題で盛り上がることって時々ありますよね。 中でもその取り組み方については面白いくらいに人それぞれで、うまく調整しながら毎日コツコツ型が理想だとしたら、8月31日に泣きながら家族総出で…
ミステリ好きというのは基本的にフィクションとしての犯罪を楽しむ人が多いようで、いわゆる犯罪実話のようなものは人気がないらしい。例外的に「切り裂きジャック」ネタについては小説・映画を問わず擦り切れそうなレベルで「こすられている」が、それ以外だとあんまり思いつかない。日本では三億円事件とかグリコ・森永事件くらいだろうか。ちなみにそういった犯罪実話が好きな方には、NHKスペシャルの「未解決事件」シリーズがおすすめである。 www.nhk.or.jp 筆者はそういったネタが大好きなクチである。一つの事件の背景にある様々な人間臭い思惑や犯人を追う警察の執念など、追うものであれ追われるものであれ「人間」と…
初めて読んだ月村了衛さんの作品は『土漠の花』でした。 手に汗握る展開、映画のラストシーンのような鮮やかな最終章。 読むのが楽しい一冊でした あれからだいぶ年月が経ちましたが、先日『脱北航路』を読んで、やはり月村了衛さんの息をも吐かせぬ展開、楽しいな、と感じました。 潜水艦とうことで、海面下の息詰まる攻防戦、読まされました。 たまたま図書館で『ガンルージュ』に出会ったので読んでみました。 ⚠️ネタバレありますご注意ください 第二の金大中事件が群馬県の山中の別荘で起きます。 韓国の大物政治家が別荘に潜伏していたが、政敵に連れ出される際、たまたま通りがかった中学生の祐太朗と麻衣も巻き添えで同行するは…
『土漠の花』 から6年半振りに月村了衛さんの著書を読みました。 またしても、壮大なスケールとラスト熱いものがこみ上げるドラマ。 一気読み! 久しぶりに読了後、天井見上げて泣きました。 Amazon ★4.2 (★5 49%) 明朝体で脱、北、航、路の4文字とハングルでタップクハンロ。 赤と緑が二分する表紙がシンプル。 読後にググってみたら、北朝鮮の潜水艦、上部が緑、下3分の2が赤なんですね。 表紙絵は、北朝鮮の潜水艦の一部だったのか…。 老潜水艦、という設定ですので、塗料も一部剥がれているように描かれています。 硬くてヘビーな内容で、305ページ、読むのに時間がかかるかな、と思いきや、なんの!…
タイトル 「機龍警察 暗黒市場 下 」(文庫版)著者 月村了衛文庫 336ページ出版社 早川書房発売日 2020年12月3日 <<この作者の作品で既に読んだもの>>・「機龍警察 〔完全版〕」・「機龍警察 自爆条項 上」・「機龍警察 自爆条項 下」・「土獏の花」・「機龍警察 暗黒市場 下 上」<< ここ最近の思うこと >>はぁ~あ・・・気分は低空飛行を保ったままだわよ。だって今日で2021年のお盆休みが終わってしまうんだから。日数一桁だけの夏休みなんて短すぎるわ、ロシアみたいに一カ月くらい頂戴よ(ノД`)・゜・。そんな昨今の世界的ニュースから。ネット目にした情報によると、アフガニスタンから撤退す…
”至近未来”警察小説シリーズ「機龍警察」の、最初の1冊を読了しました。テンポが良く、一息に読みました。この巻だけを単体で読んでもお話としては一段落ついていますが、もう1冊読んでみたいです。なお、著者のお名前の読み方は「つきむら りょうえ」さんです。 「機龍警察」を読む前のイメージは「SFと警察小説の融合」で、実際に読んでみて、それはそれで合っていました。ただ、「SFだけ好きな人が、これを読んで警察小説にも興味を持つようになるか」「警察小説だけ好きな人が、これをきっかけにSFにも手を伸ばすようになるか」というと、そういうのとは違うように思います。 なので、とっかかりとしては「メカ・アクション」と…
タイトル 「機龍警察 暗黒市場 上 」(文庫版)著者 月村了衛文庫 320ページ出版社 早川書房発売日 2020年12月3日 <<この作者の作品で既に読んだもの>> ・「機龍警察 〔完全版〕」・「機龍警察 自爆条項 上」・「機龍警察 自爆条項 下」・「土獏の花」<< ここ最近の思うこと >>キツイ仕事ってあるじゃない。その中でも警察って物凄く肉体的にも精神的にも辛い仕事だと思うのよ。そんな仕事を続けるためには何が必要なんだろね?性格的に合っている、キツイと感じない適正、天職だと実感した・・・・・いろいろあると思うけど、警察として絶対に必要なのが不正を許さない精神じゃないかと考えた。どんなに辛く…
この記事について 作品情報 あらすじ・解説 作品紹介 作品購入 Amazo 楽天/Yahoo!/セブンショッピング Audible無料体験 おすすめレビュー この記事について ご覧いただきありがとうございます。こちらはAudible(オーディブル)でのオーディオブック版《ビタートラップ》のレビュー記事となります。書籍版のレビューではありませんが、書籍版に興味を持って検索からこちらをご覧になられた方もぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。どうぞぜひ素敵なオーディオブックライフ&ブックライフを。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); …
今日は娘とずーっと遊んだ。楽しかったなー。公園を4つはしごした。体力すごいよ。先月もなんか公園3つはしごした日があったな。生半可な遊具では満足しない女だよあれは なんか朝からずっと頭と肩が痛かったんだけどukaのケンザンで頭皮ぐりっぐりしたらすこーんと治った。ここまでの手応えを感じたのは初めてである。あのとげとげがごりっとはまる感じがあったな。あれは一度やるとやめられない 半暮刻 作者:月村了衛 双葉社 Amazon 面白かった!虎杖悠仁みたいなこと言うけど一度半グレと関わるとその後も人生に半グレという選択肢が生まれてしまうんだろうな。後半がめちゃくちゃ面白くて夢中で読んでしまった。根っからの…
おもしろい小説を読みたい! というわけで、歴代の「本屋大賞」受賞作品とランキング作品をすべてまとめた。表紙画像クリックでAmazonへ、あらすじやレビューも確認できるのでご参考まで。 それではいってみよう! 2024年 本屋大賞『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈 「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。 成瀬は天下を取りにいく 「成瀬」シリーズ作者:宮島未奈新潮社Amazon 2024年 ノミネート作品(2…
今回は、私が個人的に愛するコンテンツや推し的な人、キャラクターについて紹介できればと思います。クィアな観点が前提となっていることを一応明記しておきます。あと、好きなコンテンツを羅列したため、長いわりにあんまり中身のない紹介になってしまっているかもしれませんが、ここであげた作品は基本的にどれもおすすめなので興味があれば是非見たり、聞いたりしてみてください。 長くなりすぎて、気づいていない誤字や脱字も多々あると思います。見つけたら適宜修正していきます。 アニメ編 カウボーイビバップ 少女革命ウテナ カードキャプターさくら ノワール キノの旅 中村隆太郎版 蟲師 電脳コイル 日常 少女終末旅行 まち…
毎週日曜日は、この一週間(3/25~3/31)に週刊誌や新聞などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPなどをご覧ください。 今週の書評本 *表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者.編者 出版社 税込価格 書評掲載回数(②回以上を表示) ◆サンデー毎日「遠回りの読書」: 4/7 号 2 冊俺と師匠とブルーボーイとストリッパー 桜木紫乃 角川文庫 814 ②江戸へおかえりなさいませ 杉浦日向子 河出文庫 703 ◆女性自身「今週の本」: 4/9 号 4 冊うらはぐさ風土記 中島京子 集英社 1,870僕の狂ったフェミ彼女 ミン・ジヒョン…
「坂本龍一のピアノ展」で本人の演奏を再現したピアノ自動演奏を聴き、松本清張『砂の器』の和賀英良を連想した。原作小説では電子音を使った抽象的な現代音楽の作曲家なのに、映像化ではロマンティックなピアノ協奏曲の人に脚色された。むしろ、それゆえに大衆性を獲得した。 一方、坂本は、初期の『ディスアポイント・ハテルマ』からAlva Notoとのコラボへ至るような実験的側面を持ち続けたが、やはりメロディアスでヒットした“戦場のメリークリスマス”や“energy flow”のイメージで世間的には記憶されるのだ。 https://retailing.jp.yamaha.com/shop/ginza/event/…
4/05 ダン・マクドーマン「ポケミス読者よ信ずるなかれ」ハヤカワ・ミステリ/ISBN: 9784150020026*1 4/05カリン・スミノフ「ミレニアム 鉤爪に捕らわれた女 上」早川書房/ISBN: 9784152103208*2 4/05カリン・スミノフ「ミレニアム 鉤爪に捕らわれた女 下」早川書房/ISBN: 9784152103215 4/05 J・N・チェイニー&ジョナサン・P・プレイジー「戦士強制志願」ハヤカワ文庫SF/ISBN: 9784150124410*3 4/08 エドマンド・バーク「崇高と美の起源」平凡社ライブラリー/ISBN: 9784582769654*4 4/0…
半暮刻作者:月村 了衛双葉社Amazon児童養護施設で育った翔太は先輩の勧めで「カタラ」という会員制バーの従業員となる。女性を捕まえ言葉巧みに口説き落として風俗で働かせるまでがマニュアル化されたその店のオーナーはカリスマ性を持つ半グレであり、全ての店を合わせての売り上げ上位「トップテン」を目指すべく翔太は有名大学に通う海斗とコンビを組む。という始まりで、正反対の生い立ちながらウマが合う二人がコンビとして「グレーゾーン」を巧みに泳ぎのし上がっていく様を描くのかと思いきや、店が摘発されたことで早々に二人の道は違ってしまい、「本編」として描かれるのはカタラ事件で唯一実刑判決を受けた翔太と事情聴取すら…
『半暮刻』月村了衛[著](双葉社) 『香港警察東京分室』で直木賞候補になった月村了衛氏の新刊は、発売前から話題となった「人間の本質的な邪悪」に切り込む社会派小説。刊行即重版となり、読者からは熱い感想が寄せられている。東京大学名誉教授の養老孟司氏も絶讃した話題作『半暮刻』について、「小説推理」2023年12月号に掲載された書評家・豊崎由美さんのレビューで読みどころをご紹介します。 *** ■若者2人の姿を通して現代日本の「ありのままの姿」をあぶりだすとともに、金権主義の闇にも深く切り込む──出色の社会派小説にして、ハイパーリアリズム小説 施設育ちで、定時制高校を中退している21歳の山科翔太。キャ…
若菜七弓による漫画『リセットのない世界より』が2024年3月1日で最終回(最終話)を迎え完結。 ヤングキングアワーズ 2024年 04月号 [雑誌] 作者:ヤマモトマナブ,春日井晶,近藤るるる,水上悟志,瀬戸一里,那波なばな,Dr.Poro,タカハシノブユキ,若菜七弓,フクダイクミ,月村了衛,宮下裕樹,吉川景都,吉山航平,白石純,しろ,七竈アンノ,羽流木はない,ツナシカズトラ,椙下聖海,一葵さやか,宮尾岳,長谷川哲也,平野耕太 少年画報社 Amazon コミックス最終2巻は2024年4月30日に発売。 連載お疲れ様でした。 リセットのない世界より(2) (ヤングキングコミックス) 作者:若菜七…
文庫の新刊案内! 今月発売の文庫本&注目本をまとめました。 このページについて 2024年3月発売 勝手にセレクト!今月の注目本 100分間で楽しむ名作小説 このページについて ここでは文庫化された小説やエッセイなどをピックアップして掲載しています。読み逃した本、文庫されるまで待っていた本と出合えることを目指します。※詳細はリンク先のAmazonで。 2024年3月発売 ※赤文字は当サイトにレビューありです。 ■山本幸久 花屋さんが言うことには (ポプラ文庫) ■石持浅海 女と男、そして殺し屋 (文春文庫) ■畠中恵 いわいごと (文春文庫) ■平松洋子 酔いどれ卵とワイン (文春文庫) ■朝…
新年明けて、早くも2月も半ば。 1月はどうにか11冊、本日までで年明けから読書冊数14冊でございます。まあ、このまま月10冊程度を維持できれば今年も100冊はいけそうですが、年度末は仕事忙しくて読書スピード落ちるからなあ…がんばろう。 ヴァンプドッグは叫ばない 〈マリア&漣〉シリーズ 作者:市川 憂人 東京創元社 Amazon マリア&漣シリーズ、最新作。ボリュームも最大?年越し読書に相応しいスリリングな一作でした。マリアたちの捜査サイドと事件の真っ只中犯行現場サイドを交互に見せる構造のサスペンス盛り上がり具合は今回も健在でした。 白亜紀往事 作者:劉 慈欣 早川書房 Amazon 「三体」を…
私が初めて読んだ北方謙三の小説。今でこそ『三国志』や『水滸伝』などと言った『中国歴史小説のアツいヤツ版』の作家になっているが、元々は『逃がれの街』『友よ、静かに瞑れ』といったハードボイルド作家として鳴らしていた。何故現代劇から身を引いてしまったのかというと、男の浪漫みたいな物語が通用しないというか、描きようがない世の中を痛感してしまったからだろう。ハードボイルドが嘘っぽく見える現代に対峙した時に、では過去の男たちに頼るしかないと考えた訳だ。確かそんなことを読んだか聞いた気がする。本作はハードボイルドと歴史小説を並行して書いていた頃の作品らしく、1999年に刊行されている。そしてその内容は、暴力…
・観た映画 「PERFECT DAYS」今年の映画初め。これはプロの犯行によるルーティン動画だ、というのが第一印象で、ゆーちゅーぶで見るようなわざとらしさが少なくていつまでも見てられる映像だった。ところどころに引っかかるような違和感があって、姪や妹とのハグであったり、出かけるたびに家に施錠しないことであったり、素手でごみを拾ったり作業服を週一でしか洗わないことだったりなんだけど、鑑賞後感はすがすがしくて概ね満足です。 「コンクリート・ユートピア」お正月にイビョンホンの映画を観るのは去年と同じだなあと呑気にしてたらそうだった災害の話だったんだと、己の呑気さにうちのめされました。やー...間違った…