昭和三十年ころ、初めて私に与えられた本箱である。 最初に親から買い与えられた雑誌は『ひかりのくに』だった。読書好きでもなかった幼児は繰返し眺めかえすことができず、一度眼を通すとすぐに飽きてしまったが、捨てることもなんだか憚られて、この箱に収めた。 『ひかりのくに』時代はごく短くて、ほどなく『小学一年生』に変った。いちおう全ページに眼を通しはしたものの、すぐに飽きてしまった。あまり興味を示さぬ子に親は失望したものか、ほどなく買い与えられなくなった。ろくに読みもしない雑誌を定期購読するほど、裕福な家でもなかった。 数年後には、月刊漫画雑誌に興味が湧いた。『少年画報』が一番のお気に入りだった。しかし…