訓読 >>> 2371心には千重(ちへ)に思へど人に言はぬ我(あ)が恋妻(こひづま)を見むよしもがも 2372かくばかり恋ひむものぞと知らませば遠くも見べくあらましものを 2373何時(いつ)はしも恋ひぬ時とはあらねども夕(ゆふ)かたまけて恋ひはすべなし 2374かくのみし恋ひやわたらむたまきはる命(いのち)も知らず年は経(へ)につつ 要旨 >>> 〈2371〉心の中では幾重にも思い続けているけれど、人には言えない私の恋妻に逢う術があってほしい。 〈2372〉こんなにも恋することが苦しいものと知っていたら、遠くから見るだけでよかったものを。 〈2373〉いつといって恋い焦がれない時はないけれど…