4.5修学旅行中のじゅんこ(桜田淳子)がとらやをおとずれる。そのときのドタバタが数ある男はつらいよのなかでも出色の楽しさだった。 とうぜんながら、じゅんこの母=おゆきさんは寅さんのどれあいではなく、したがってじゅんこは寅さんの娘ではない。が、おいちゃんとおばちゃんは周章狼狽。ちょうど帰ってきた寅を問い詰める。 じゅんこは母を昨年亡くしている。母と親交のあった寅さんを父親だと思っていて、上京に寄せてとらやをたずねたのだった。 彼女は母が亡くなったことを「あの、おじさん、母は去年死にました」と言うのだが「亡くなりました」ではないところに情緒が据わった。少女が肉親の死を死ぬという直截な言葉遣いで言う…