<6>からつづく しおかぜ町から「キンパッつぁん編<6>」2023/11/12樹里亜(じゅりあ)と薫(かおる) - しおかぜ町から 沼田薫の献身的な働きは、その後も続いた。 夏休み後半になると、二冊目の『薫ちゃんノート』が半分埋まっていた。 彼女は黒崎だけではなく、全員とよく話をしていた。ジョージとも話し込んだし、ときには菊田先生にも会っている。 「参ったで。『先生、お話しましょ』やて。ワシの分まで弁当持って。午前の受験講座が終わって、クラブまで時間があるから言うて。演劇部のこととか、部員の長所とか短所とか。そんなことワシに聞いてどないすんねん、ちゅうねん」 いやいや、先生、それはご謙遜です。…