作品から作者自身の性格を推し量るのは容易なようで難しい。 あんな小説を書いていながら紫式部本人は身持ちがおっそろしく堅い、ほとんど時代の雰囲気にそぐわないほど頑なな、あらゆる誘惑を撥ね退けて貞操を断固守り抜く、まるで淑女の鑑のような御人柄であったとか。 (viprpg『かけろ!やみっち!!』より) 少なくとも与謝野晶子はそう信じていた。日本で初めて『源氏物語』の現代語訳を成し遂げて、しかもそれでも飽き足らず、『紫式部日記』すら新約せんと試みた、そして現に果たしたところのこの人は、ほとんど崇拝の領域で紫式部に親炙しきっていたらしい。 まあ実際、原著に対する愛が無ければ良き翻訳など到底望めぬモノだ…