宝永3年8月11日。近頃、鍛冶屋町下大池の花火がにぎわい、大曽根あたりもこれにおされ、大方は皆鍛冶屋町へ出かける。大池の堤の上では周りを囲い、1寸の余地もないほど見物人があふれる。男女・老少・貴賤が集まり、弁当・毛氈を持ってたくさんの人が見物する。茶や売物も多く、縁取1枚を10銭で貸し出す。酒は徳利などに入れて盃を添えて売り廻り、あぶり餅・かば焼きなどをたくさん売る。ただし茶屋の店はなく、その時々で筵・薄縁などをひいて茶を売る。歴々の諸士や妻女なども大勢やって来る。花火は種々の趣向を凝らしており、綱火(操り人形と仕掛け花火が融合した花火)は大池の上に張り渡して飛ばす。道成寺のからくりもある。そ…