元禄14年3月14日。子刻(午後11時)前、火の手が南の方角であがる。庚申堂側の町屋10軒ほどが焼ける。城の方角でなかったので文左衛門は出向かず。仲間は大方彦兵へと出向く。今後は名古屋での火事であるなら出るべきである。江戸において喧嘩がある。毎年春、勅使・院使が江戸へ出向く。高家衆吉良上野介と他の大名が2人でこの接待を務める。この度も上野介と浅野内匠頭と他に何某という者が務めた。某は賄賂を上野介に遣わし、上手く取り計ってくれるように頼んだ。内匠頭にも音信(贈物)を遣わすべきと家老が勧めるが、賄賂などでへつらうことはないと遣わさなかった。吉良は欲深かったので前々から皆贈物をしていた。この度の内匠…