セネカ『幸福な生について』を読了する。 セネカが莫大な資産を有していたことに、言行不一致との批判もあったようで、この書にはそれに対する自己弁護と思われるような文章も存在する。 あってもなくても構わないが、あるに越したことはないものが存在する。来れば拒まず、去れば追わない。主人となって、奴隷とはならない。とはいえ、あくまで自分は賢人ではなく、途上の人間である。そんなことが語られる。 下に引用したのは、中野孝次が「徳への祈り」と呼んでいる部分の最初のところ。 Moral Essays, Volume II: De Consolatione ad Marciam. De Vita Beata. De…