その昔、江戸時代3代将軍家光の頃の江戸に、15歳になる娘を大切に育てている母親がいた。元は牢人の後家で母子の2人暮らしをしていたのだが、同じく牢人者との縁談があったので先方のことを詳しく聞いてみると、人徳のある人物で年齢は17,8歳だという。 母親がこの縁談を承諾したところ、その相手は実は30歳だという話になった。 にわかに母娘は気乗り薄になったが、媒酌人は15歳の娘に30歳の聟(むこ)は決して年寄りとはいえないと主張する。 ところがそのうちに、聟は本当は35歳だとわかったものだから母親は怒った。 「せめて倍の歳ならよいものを、35歳とは私を後家と見て馬鹿にしているに違いない。絶対に、娘はやら…