恋愛小説ってどこか毛嫌いしていた。年かさがいってからは特にそうで、この範疇に入る小説は、そうだとわかった途端に敬遠してきた。恋愛小説の「要素もある」のなら、別筋があるので構わないのだが、恋愛がメインというのはきついなあというのが、正直なところ。いまさら「好き、嫌い」の話じゃないだろうと。 サガン「ブラームスはお好き」が、作家から恋愛小説に属する作品であることは知っていたが、好きな作曲家であるブラームスが小説にどう絡んでくるのが知りたくて手に取った。読んでみると、それぞれの人物の感情の動きがしっかりと言葉になっていて、世代感が理由かもしれないが、気持ちの流れがつかめた気がしている。いや、結構のめ…