「死んで生きる」とは、黒田においてあらためて如何なるものであるのか? 『戦後主体性論ノート』において黒田が、「「梅本理論」の問題——それは、一昨年の終わりから常に僕に迫り来った問題であり、梅本氏の問題を僕自身の問題として受けとめ、自己の無能を充分自覚しながらも格闘してきた……。 だが結局において梅本理論を克服しえないことを、ここまで書いてきて、あらためてはっきりと自覚せしめられ、絶望とそれにともなう寂莫にいかんともなしがたく、孤独の悲哀と苦悩を、このあかるいはずの新年の初頭に痛感するのみなのだ。」と書き記したのは、1950年1月5日のことである。 その梅本理論の核心点はいかなるものであるのか?…