黒田寛一の哲学をわがものに 5の4 4 唯物論的主体性論なき実践論 イ 梅本の提起を切って捨てる松代秀樹――唯物論的主体性論の破棄 松代秀樹は、「被限定を能限定に転ずる変革的実践の決意成立の場面」を明らかにすることを提起した梅本にたいし、すでに「場所=物質的世界をうちやぶり切り拓く、と〈意志しているわれわれ〉がどうするのか」と問題を立てて、バッサリと梅本の提起を切り捨ててしまう。「われわれは出発点において能限定の・すなわち変革的実践の・パトスと意欲にもえている」、と言い切るのだ(下線は筆者)。 「えっ、田中吉六の60年来の再現か?」 と思わず声に出てしまった。 それはともかく、「出発点において…