Ⅱ 「マルクス主義者といえども、西田・田辺哲学から何がしか学びとるゆえん」をわれわれはつかみとらなければならない。 田辺元の『歴史的現実』について 2000年発刊の『実践と場所』第一巻の執筆過程で黒田は、田辺元の『歴史的現実』を耳読した。 黒田は、「主体性とはなにかを問い思索しつづけてきた」からこそ、「西田・田辺哲学の核心的なもの」が「内面化」しており、「梅本・梯的思弁によって濾過されたかぎりの西田・田辺哲学が、‶私のもの〟である」と内省している。同時に黒田は、田辺は「時間論の展開の正当性にもかかわらず、難破を結果せざるをえなくなっている。」 それは、「種族」という「場所を肯定する主観主義」の…