又猫に泣かれるとねむれない明朝俺は早いといふのにいつまで もラヂヲをがん〱鳴らしている。しやくだから一反しいた フトンを引張って六畳の方に行つてねた。(これは昨夜の事 である) 一人起きて出勤する 今日は一日だ。子供の生れる月でもある。一日から不機嫌で はありたくないと思ふが、一家の支柱といふべき働く俺の 体がやすめる様、もう少し心を配つてほしいとつく〲思ふ それが不足なのだ でも夜八時すぎ会社から帰ると、義母は案外機嫌よく たばこ等出してくれる。 娘から このころ扇風機はまだ家になかった。片倉家は家電製品の導入が世間より少し遅れ気味なところがあり、私がものごころついた昭和30年代末には白黒テ…