狂気と正気

こわいです、わたしのことをみてーーー すこし調子が良くて、じぶんの苦しみもなかったことになっちゃうんじゃないかみたいな。学校の友だちとお弁当たべる一緒に帰るプリクラ撮るイルミ見に行く、それをできるだけ正常なわたしでやりたい。でもなんだそれ、最近読んだ本、安部公房の人間そっくり、狂気か正気か。わからん。あたし、人間そっくりの火星人かもしらん。わたしって大丈夫なんです、きっと、吐き気も早朝覚醒もぜんぶ、大丈夫なんです。だからただ、わたしに言葉が欲しいです、たすけてなんて言えないし、どうしてほしいのか、助けてほしいのかもわからない。ただ今この瞬間に隣にいて、ぜんぶきいてくれるひとがいたらいいなあって…

1.Impression狂気と正気、愛と憎悪、人間・アーサーと道化師・ジョーカー、シリアスネスとエンタメ性、これら二つの両極端な要素が交互に交差し錯綜しトグロを撒き、やがて訪れる壮絶な結末へと雪崩れ込む展開に「鑑賞」というより「目撃」したとでも言おうか、正に期待通りの見応えある作品だった。 www.youtube.com ただトレイラーで予測されたような「ジョーカーが牢獄から抜け出してハーレクインと組んで更に信望者を巻き込んでバンバン悪い事しまっせ！」みたいなエクストリーム要素はほぼゼロで、カリスマとなってしまったパブリックイメージと人に愛され愛する事に目覚めることとのギャップを意識し始めやが…

前巻感想はこちら↓ 読書感想：全員覚悟ガンギマリなエロゲーの邪教徒モブに転生してしまった件 - 読樹庵 さて、前巻を読まれた読者様であればこの作品に満ちている狂気、というのはお分かりであろう。アーロン寺院教団、ケネス正教、共に中々死なぬ者達の集まりであり故に覚悟ガンギマリ。そんなくそったれな世界で寄りにもよって最悪な所から始まったこの作品。さて、オクリーの目的を達成するために必要なのは何か、狂気である。

1972年10月、講談社から刊行された小林美代子（1917～1973）の長編小説。装幀は栃折久美子。著者は釜石市生まれ、刊行時の住所は三鷹市井の頭。 私は飢え通しでした。食べても食べても飢餓感は去らなかった。が、より精神的な飢餓感が堪えがたかった。何でもかまわない、何かでそれを埋めようと必死に努力しましたが、ついに一時もそれを埋めることができませんでした。独身のせいだけでもなさそうでした。 飢餓感は今も去らない、埋められそうな物は判ってますのに、到底手に入らない気がします。飢えを満たす作品を作り上げられるかどうか判りません。ただ夢中で書いて見るしかないのです。（「あとがき」より） 目次 序章 …

はじめに 鮮烈なビートと刺激的な歌詞で聴く者の心を掴むAdo。彼女の楽曲「ギラギラ」は、現代社会を生きる若者の内面を鋭く描き出し、多くの人々の共感を呼んでいます。この曲が2021年にリリースされてから、その独特な世界観と深い歌詞の解釈をめぐって、様々な議論が交わされてきました。 「ギラギラ」は単なるポップソングではありません。それは、自己嫌悪と自己肯定の狭間で揺れ動く魂の叫びであり、社会の歪みに抗う若者の manifesto（宣言）でもあるのです。この楽曲が提示する世界観は、私たちの社会や個人の在り方に対して、鋭い問いを投げかけています。 本記事では、「ギラギラ」の歌詞を深く掘り下げ、その中に…

ところで、「クレイジー」(crazy)とはどういう意味か？「異常、狂気、気が狂った」というのが一般的な解釈であるが、それが転じて「すごい」「やばい」などポジティブな意味で使われることも多い。『クレイジージャーニー』という番組の「クレイジー」にはきっと、その両端の意味が込められているし、その両端の振れ幅こそが番組の魅力なのだと思う。では、狂気の対義語は何か？日本語で言えば「正気」となるが、正気を英訳しようとなると、ピンと来る言葉がない。調べてみると、「Sanity」とある。知らなかった。サニティー？自分の理解を超えるものに対しては「クレイジー」という言葉で括ることができるけども、逆に関しては、つ…

ブリリアホール、2ヶ月連続でフランスの歴史を学ぼうフェスティバル開催！ …というのは冗談ですが、それにしても同じ時代・同じ国に生きて歴史に名を残した女性の物語を、ストレートプレイとミュージカルで表現する形式は異なるとはいえ、同じ劇場で上演するってすごい偶然ですよね。主催違うし本当にたまたまなんだろうな…。 上演する順番としても、「ジャンヌ・ダルク」→「イザボー」は個人的にかなり妥当だと思いました。 ちなみにこの日千穐楽でしたが、浜松町の自由劇場では、劇団四季がジャンヌ・ダルクを主役にした「ひばり」というミュージカルを上演してたので、この時期は百年戦争が流行ってたみたいです（嘘） フランス史上最…

はじめに 騎士道小説に心を奪われ、現実と空想の境界線を失った中年男性の珍道中。一見すると滑稽な物語に見えるかもしれません。しかし、ミゲル・デ・セルバンテスの不朽の名作『ドン・キホーテ』は、単なる道化噺ではありません。この作品は、人間の理想と現実、夢と現実の狭間で揺れ動く心の機微を鮮やかに描き出し、400年以上の時を超えて私たちに深い洞察を与え続けています。 『ドン・キホーテ』は、1605年に前編が、1615年に後編が出版された長編小説です。スペイン黄金世紀を代表するこの作品は、近代小説の先駆けとされ、世界文学に多大な影響を与えました。物語は、騎士道小説を読みすぎて現実と虚構の区別がつかなくなっ…

はじめに 精神と現実の境界線が溶解する、錯綜した物語世界。夢野久作の代表作『ドグラ・マグラ』は、読者を混沌とした迷宮へと誘う、前代未聞の長編小説です。1935年に刊行されたこの作品は、今なお多くの読者を魅了し続けています。 『ドグラ・マグラ』は単なる小説の枠を超え、人間の精神や存在の本質に迫る哲学的な問いを投げかけます。記憶喪失、多重人格、遺伝と環境の影響、そして「狂気」とは何か—これらのテーマを通じて、私たちは自己のアイデンティティや現実認識の脆弱さに直面することになります。 本稿では、この複雑で刺激的な作品を多角的に分析し、その独自の世界観や表現手法、そして現代社会に投げかける問いについて…

「insane」の語源。 www.etymonline.com 1550s, of persons, "mentally damaged," from Latin insanus "mad, insane, of unsound mind; outrageous, excessive, extravagant," from in- "not" (see in- (1)) + sanus "well, healthy, sane" (see sane). In reference to actions, "irrational, evidencing madness," from 1842 in…

9/03 今野敏「リミックス」小学館/ISBN: 9784093867344*1 9/03 山田宗樹「鑑定」角川春樹事務所/ISBN: 9784758414708 9/03 真島文吉「右園死児報告」ＫＡＤＯＫＡＷＡ/ISBN: 9784047380455*2 9/03 星田英利「くちを失くした蝶」ＫＡＤＯＫＡＷＡ/ISBN: 9784041140185*3 9/04 リチャード・コールズ「殺人は夕礼拝の前に」ハヤカワ・ミステリ/ISBN: 9784150020071*4 9/04 レベッカ・ヤロス「フォース・ウィング 第四騎竜団の戦姫 上」早川書房/ISBN: 9784152103499*5 …

狂気と正気の区別はカミソリの刃よりも細く、犬の歯よりも鋭く、牡鹿よりも身軽だ。一番実体の薄い幽霊よりもとらえどころがない。ひょっとしたら、実在しないのかもしれない。ひょっとしたら、それは本当に幽霊なのかもしれない。 （フィリップ・K・ディック／山形浩生訳『ヴァリス』） 11時半起床。起き抜けから（…）のおむつを替える。父の持ち帰ってきた寿司を食ってからめだか鉢の手入れ。めだか鉢にはしょっちゅうアシナガバチがやってくる。いつもは勝手に水を採取しているだけなので放っておくのだが、今日は一匹やたらとこちらの耳元をぶんぶん飛びまわってくる阿呆がいたので、あたまにきて、水槽用のタモでとっつかまえてサンダ…