六線譜の輝き(六線譜のシンフォニー)第三楽章 玩具のバイオリン ーーー耳をすませば、ジョロウグモの六線譜を揺らす風たちの歌声が聴こえて、 木漏れ陽に揺れる光の輝きが終わりのない心地よい編曲へといざなうーーー 遠くからチョビ~ッと呼ばれて、我に返った猫が振り向くと、 部屋のカーテンを開けた窓から綾子が手を降っている。 綾子は、チョビの姿をずっと見ていたのだ。 そして綾子もまた、 チョビと同じように六線譜が輝くシンフォニックな世界の中にいた。 ほらこれっ! 綾子が差し出した手に持っていたのは小さな小さな玩具のバイオリンである。 猫は走って行ってそのバイオリンを受け取り、 六線譜の前に戻るとバイオリ…